太宰府名物の梅ヶ枝餅屋さんで、慢性肝炎と診断され、七、八年も通院治療中の婦人がありました。
昭和五十八年頃には、次第に悪化して顔や手足がむくむようになり、疲れがひどくて仕事が辛いと言われ、『仕事を止めなくてはならないのか』と、悲しんでおられました。

或る日、ラジオの健康番組で、『馬油を毎日少量なめて、慢性肝炎を治す研究をしている』と言う、関西の某大学の医学者の話が放送されたのだそうです。
馬油と言う呼名は、私が造った言葉ですし、関西方面の大学の研究者からは、研究用の馬油の提供を希望されて無償提供をしていましたので、その中の誰かが《内服用の研究》をされたのだなと思いましたが、その放送を聞いた肝炎の婦人は、早速手持ちの馬油を毎食後一グラム程、なめて呑みこんだのだそうです。
当時は、馬油を製造している会社は、私が創業した(有)筑紫野物産研究所だけでしたし、脱臭精製装置も古くて、現在のような無臭の純良品は作れなかった時ですから、少々匂う馬油を懸命に服用された訳です。
すると、服用後半月ほどで、一年越しの体のむくみが引き、体が軽くなって仕事が楽になり、『又遠方のデパートへ実演販売に出られます』と言い出されたのは、それから間もなくの事でした。

馬油は勿論自然の食用油で、しかも高度の不飽和脂肪酸が主成分ですから、所謂、油脂の摂り過ぎの食害は少なく、油の中では抜群の栄養補助食品と言えましょう。
かと言って、では馬油を内服して何かの病気に効くのかと言われれば、全く未知の分野の話で、
少々の体験談で素人判断をするのは、慎まなねばなりません。
私が現時点で言えることは、食しても無害ということだけで、誇張宣伝して健康食品にするつもりはありませんし、真面目にこつこつ研究してみようと、思っているだけです。