長期間の寝たきり病人に起こる、血行不全の潰瘍のことです。 馬油の、《血行促進性》と《化膿防止性》の二性質が共に役立ち、効能は確実です。

手当の基本は、火傷の治療法と同じです。先ずたっぷり馬油を塗り、二枚折りにしたガーゼにも馬油を塗りつけて、傷口に当てます。ガーゼから馬油がしみ出して衣服に付着しないように、ガーゼの上からビニールシートを当てて包帯します。ビニールシートは食品用の薄いビニール袋等を切って作って下さい。その上から包帯などでずれないように留めます。馬油塗布量が充分だったら、一週間位はそのままで構いませんが、心配だったら翌日包帯を取って見て下さい。もし馬油が不足しているようでしたら、ガーゼの上から塗り足すだけで、又元通りに包帯をします。
火傷と違うのは、前もって“床ずれ”しそうな所に塗りこんでおくと、床ずれしませんから、『予防する使い方が賢明』です。老化衰弱して長期入院しておられる方が、天寿を全うして、いよいよ昇天される時には、その半月ほど前から、馬油が床ずれに効かなくなります。新しく出来た床ずれに塗ると、一日で少し乾いたようになって汁が止まるのが普通ですが、寿命が切れる半月前くらいから、塗っても乾かず、白いカビなどが出来て湿ったままで、効能が出なくなります。馬油が血行を促進しても、患者の血液自体が自然治癒力を劣化しているからで、しかし、そう言う方は、臨終時も全く眠るような《天寿を完うした成仏》をされます。