(昭和55年)
(14)人間と野菜は夫婦みたいだ

昭和55年の初春、見知らぬ外国の方が梅仙丹を頒けて欲しいと来訪されました。
梅仙丹とは、私が暇に名付けた名の物で、梅核を日光で乾燥し摺り潰した物です。
梅の薬用成分の大部分が、核の中に含まれており、その成分の学名をアミグダリンとも、ビタミンB17とも言います。
『スチーブ・マックウィーンに食べさせる為だ。』と、その人は言いました。

S・Mさんは有名はアメリカの俳優ですが、肺癌になって闘病していたのです。
梅仙丹は市販品ではなく、梅雲丹に混入するために作っている原料ですが、リチャードソン医博の《ビタミンB17療法》が知れ渡って、時折欲しがる方があり、初めのうちは当惑しながらも無料で頒けていたのです。次第に欲しがる人が増え、こちらでさえ不足している位ですから、梅雲丹の四倍くらいの高い値段にして、興味半分でのご注文はお断りしておりました。
S・Mさんの場合は、本当に必要らしかったので、安く頒けて差し上げました。

後日になって判った事ですが、S・Mさんは、完全に手遅れで手術も不可能の肺癌を、梅核や杏仁などから抽出する《ビタミンB17》療法で、奇蹟的に恢復し、癌はごく初期の状態まで縮小してしまったんだそうです。
全く手遅れの状態だった癌が、手術できる小さい癌に縮小したので、これなら切り除ってしまえば大丈夫と、B17療法の病院を抜け出して外科手術をし、手術は成功したのだそうですが、術後に予想外の心臓発作を起こし、心不全で急死してしまいました。
ビタミンB17病院を抜け出す数日前には、その内科医院で記者会見し、
『私は末期の肺癌におかされていたが、神のお加護で奇跡が起こった。私は間もなく退院し、次の映画出演も決まっている』
と劇的な発表をした事が、日本の新聞にも報道されましたので、日本の梅の種子が役に立ったのかと感心していましたら、一週間もせぬ中に正反対の悲報でした。

本道《梅雲丹》
と昔から言われていた事を、皆さんにお話した事があります。
本道とは《内科》のこと、外科の事は漢方では外道と言ったそうです。
つまり、切って治す方法は外道(つまらん治し方)、切らずに自分の体内の治癒力で治すのが本道(内科)で良い方法なのに、S・M氏があせって外科に走ったのは、貪り心に惑わされたかと、惜しまれてなりません。
折角、奇蹟的に治って来たのに、もう少しを辛抱せず安易に走り、駄目押しをして自滅した囲碁みたい・・・・私共も自戒せねばならぬ《他山の石》と申せましょう。
第一、癌なんかにならぬよう、平素の食事で予防することこそ忘れてはなりません。

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或る公共機関が調査した資料(新聞発表)によると、『日本人が一番食べたがらぬ嫌いな食物は野菜』だそうです。

野菜嫌いの%は、小学生で49%、大人は24%ですが、どちらも一位とのこと。
この調子では、癌、糖尿病、痛風、アレルギー症と、成人病は増え続けるでしょう。
前述したように、重症の成人病者の殆どが《野菜嫌いの肉好き》です。
肉は好きでも良いから、野菜も好きにならねば、先々は眼に見えているのです。
癌以外の成人病でしたら、まだ何とか治す事も出来ますが、癌になってしまったら、もう半分は神仏の力にすがるしかなく、死を覚悟の上で反撃を試みるしかありません。
そのような万一の場合に、私が調査し研究したもので、せめてお試し下さいと申せるものを、書留めておきます。

(一)ビタミンCを大量に静脈注射する、森重博士のVC治療法
(ニ)蓮見博士の《蓮見ワクチン》
(三)完全な食事療法。食事を有色野菜と豆腐と海藻と、丸ごと食べられる小魚などの《アルカリ性食品》のみにする方法

以上の三通りの方法は、全く予期せぬ神秘的効果を出す事を、何度か確認いたしました。右のほかにも、色々宣伝され有名なものも有りますが、相当調査しましたのに、実際に治った事実に遭遇した事が無く、責任持ってお勧め出来るものは有りません。
梅雲丹は(三)番の食事療法の時には脇役ながら大活躍するでしょう。
ともあれ、『癌などの全ての成人病は、野菜好きになって予防する事』を、早く常識にしてもらいたいものです。

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